大企業と中小企業と会計事務所、何が違う?働くならどこが良い?
実は企業内の経理の仕事と会計事務所の仕事は根本的に違います。
企業の数字を扱うから同じではないかと考えがちですが、会社内で日々処理する経理の仕事と公認会計士の事務所で行う業務では意味が変わってくるのです。
大企業の経理について
経理の基本的な考え方としては、その会社の規模に関わらず会社のお金の流れを知っておく必要性があります。それは、単純に経理の中だけのお金の流れと言う意味ではありません。
会社全体を視野に入れてのお金の流れですから、規模が大きくなればなるほど理解しにくく見えにくくなります。
大規模な製造会社では、事業計画に沿って数ヶ月先の生産に照準を当てて部品発注します。
その時の数字はあくまでも予測であり、数か月後の納品時に支払予定が立ち、請求書が届いた時点で契約通りの支払い予定が組み込まれます。
つまり、大企業は一取引だけでも経理処理に数か月かかるのです。
大企業では担当が細分化されている
大企業では、経理と一括りにした組織の中が、詳細に職務分担されているのが普通です。
- 直接的にお金に携わる「出納」
- 出納の申請に対してOKを出す「主計」
- 製造の仕入れや売上管理、製造途中段階の在庫管理を数字に置き換える「原価」
- 直接的な現金部分と数字に置き換える原価を総計して資金を調達、資金繰り、資金運用など予算管理をする「財務」
に大まかに分けられます。
複数人が携わることで不正や誤謬を未然に防ぐ
これらの分担は、あくまでも例であり企業によって異なりますのでこの分類や分担がすべてではありません。
しかし、共通していることは大企業では扱うお金の桁数も大きく、その管理にも多くの人が必要になります。
出納の人は出納だけ、主計は主計だけ、原価は常に数字だけ、財務は財務の仕事だけとなります。
「出納」「主計」「財務」は、お互いにその職域を侵すことなく、独立した業務を担うことで相互に不正や間違いのないよう牽制しあっているのです。
中小企業の経理について
日本の企業の内おおよそ99%が中小企業であり、大企業はほんの一握りしかありません。
中小企業でも業種によってその規模は異なります。
製造業で資本金3億円以下、従業員300人以下もあれば、小規模になると製造業で20人、商業で5人となります。
企業規模が何倍も異なる形態で、中小企業の経理というものを一括りにはできません。
つまり大規模企業同様の組織形態を取っている会社もありますし、事務員一人が経理を含めた事務すべてを担っている会社もあるということです。
小規模になればなるほど、一人に任される仕事の幅が広く、会社全体を見渡す能力が必要となります。
責任が一人に集中する危険性もありますが、会社のお金の流れを知り大企業で分担されていた仕事をすべて経験できる面では、こちらの方がやりがいも面白みもあるかもしれません。
中小企業経理での不正回避や牽制は、2、3人の事務員が相互管理しあい、管理職などの上司が目を通す形を取り、小規模においては事業主や上司がその役割を果たしています。
会計事務所の経理について
最後に会計事務所ですが、公認会計士は企業や団体の会計監査が基本的な仕事となります。
この業務内容からも通常の企業経理とは異なることが分かりますよね。
大企業になると、法規、税法知識を持ち合わせた経理専門職もいますが、中小企業には税法知識や決算処理を滞りなく行って申告書まで完了できる経理職員を有しない会社も少なくありません。
企業は毎月の収支・会計報告書、決算書、税務処理など法的処理をしなければなりません。
これが社内で出来ない場合に公認会計士を有する会計事務所に依頼して報酬を支払い代わりに行ってもらうのです。
仕事内容は、公認会計士の指導の下に、企業の会計監査処理、指導等を行いますが、契約企業からの依頼によっては、日々の伝票処理から、会計ソフトへの入力までを事務所内で行うこともあります。
また、会計事務所から企業に出向いて経理処理・指導する仕事も有しています。
会計事務所は、公認会計士を目指す会計のプロ養成所としての機能を持ち合わせていますので、会計処理の修行の場との認識を持って勤務する人も多く、多忙の割には決して収入は多くありません。
働くならどこ?
経理の仕事をしたいと考えるなら、
- 経理の何をしたいのか
- キャリアアップを図る時に何に重点を置くか
大企業で予測・分析のエキスパートを目指すか、中小企業で経理全体を把握し、役員に会社の状況分析や軌道修正を進言できるようになりたいか、税法的知識を有するプロの会計士として企業の指導管理をしたいと望んでいるかによって進むべき道は異なります。
転職するならどこが良いのか決めるには、何をしたいかと、そのやりたい事にどれだけの勉強と努力が出来るかがカギです。
将来なりたい自分にはどの場所で働けば近づいていけるのかということを考えて、転職先を定めて頑張りましょう。